「街のはたけ公園」の整備(片山 弘子:MailNews 2010年10月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2010年10月号に掲載したものです。

◇◇◇◇◇◇◇◇

鈴鹿カルチャーステーションでは,市民農園や学校の体験学習,シニアの活躍の場など街の人たちの学びと憩いの空間になるよう企画・ 構想を練っています。

私たちの趣旨と計画に地元スーパーが賛同されて5000坪の土地を提供して下さいました。スーパーでは過去20年,花苗を育て市内の施設や学校に花を贈ってこられましたが,担当者の高齢化など維持管理が困難となり,理念的にも公共に資する点と作業を若い層で受け持てるという実働性を評価してくださった結果,私たちに無償貸与になったものです。

1010_hiroko_fig1

土地の整備は,まず長年の化成肥料と農薬投与で傷んだ土壌を健康にするところからです。これまで主に花と花木,果樹が植わっていましたが,最近はほとんど放置状態となっていたので,6月末に出来る所から畑にしていくために,鈴鹿市内外からの参加者が毎週末サツマイモの苗植えを行いました。7月~8月にかけては酷暑の中で若い人たちが,桜並木や柿園を残して伐採し,重機で根を取り除いて畑用に開墾を進めました。また,夏にハスの花が咲きレンコン収穫も楽しむように,東南の角地に池を掘って水を引き周囲に雪柳を植えました。

9月に入ってからは休日に鈴鹿市内の子どもたち向け企画として,南面の畑に小松菜の種まき,また名古屋市内や京都市内の学生有志で草抜きを行いました。今月10月にはその小松菜が収穫できるようになり,サツマイモの収穫も合わせて企画に使っています。子供向け教育事業に加えて10月16日から来春にかけて開催する企業退職者向けの生きがいづくり講座でも実習の舞台として使う予定です。日常の畑の管理作業は主に(株)アズワンファームの若い人たちにお願いし,小松菜は協力関係にあるお弁当屋さんで使ってもらい,若い人の収入の一助にしてもらっています。

1010_hiroko_fig2

課題としては,土地の状態が思った以上に悪くしばらく土作りや環境整備に時間がかかること,日陰が少ない点です。土づくりのために,近場の里山から腐葉土を入手し,今後さらに継続できるよう関係者と共に近隣や市役所に働きかけています。その中で思いがけない新しいつながりがまた出来つつあり,このネットワークは将来的には目に見えない財産になると思われます。もし地元の人たちの協力で適切な里山が見つかれば,里山と街のはたけをつなぐ「もの」と「人」の小さな循環の輪がつくれるよう,そのきっかけにしたいと思います。

今後の体験企画としては,土づくりと並行して10月下旬にかけてサツマイモ収穫と小松菜収穫の続き,その後は冬野菜の種まき,土づくり講習会,レンコン収穫,わらじづくり,モチツキ大会など準備しているところです。

 

(かたやま ひろこ:鈴鹿カルチャーステーション事務局)

◇◇◇◇◇◇◇◇

KIESS MailNews は3ヶ月に1度、会員の皆様にメールでお送りしている活動情報誌です。

KIESS会員になっていただくと、最新のMailNewsをいち早くご覧いただくことができ、2ヶ月に1度の勉強会「KIESS土曜倶楽部」の講演要旨やイベント活動報告など、Webサイトでは公開していない情報も入手できるほか、ご自身の活動・研究の紹介の場としてMailNewsに投稿していただくこともできるようになります。

詳しくは「入会案内」をご覧ください。